桂枝雀 生誕70年記念落語会に行ってきました。

平成21年12月4日
麻生市民館 大ホール

【出演】
落語 桂 紅雀 『普請ほめ』
落語 桂 雀々 『動物園』
落語 桂 南光 『あくびの稽古』
落語 桂 春團治『祝いのし』

── 中 入 ──

ビデオ落語『つる』 桂 枝雀

お誕生会/想い出を語る座談会
 桂 米朝
 桂 南光
 桂 雀々
 桂 紅雀


会場に着いてまず驚いたのは、若いファンがたくさんいたという事。枝雀さんが亡くなられて10年の月日が流れた間に、生の枝雀さんを知らないファンが増えたのだそうだ。関東でこのような会を開くのはめずらしい事もあり、満席。
前半の4演目、生で落語を聞くのは初めてだったし、本当に楽しかった。やっぱり場の雰囲気がビデオとは全然違います。お話は全部知っていたけれど、会場に貼られた演目名は上のメモに書いた通り、関西での演目名でした。「動物園」は新作落語なので全国共通かな? 関東だと「普請ほめ」は「牛ほめ」、「あくびの稽古」は「あくび指南」、「祝いのし」は「あわびのし」だと思うんだけど、やっぱり上方は関東のものと違うみたい。(ここらへんは自分の勉強不足でした。)「動物園」以外は時間の都合上、残念ながらはしょってのお噺でした。それでも南光さん、雀々さん、紅雀さん、やっぱりどことなく枝雀さんの面白さを受け継いでいるような、そんなお噺でした。最後の春團治さんは枝雀さんにとって兄弟弟子になるのかな? 米朝一門でない春團治さんの噺を聴けるとは思わなかった。それにしても春團治さんは渋い。上品というかダンディというか、そんな方です。 
中入後はいよいよ枝雀さんの登場。あのお顔を見ているだけで自然とこちらの顔がゆるんでしまいます。表情が豊かで、めりはりが利いていて、大笑いしました。
続いては想い出を語る座談会。ご高齢だし、もしかしたらいらっしゃらないかもなぁと思った米朝さんは、弟子のためにしっかりと出演されました。人間国宝なんて初めて見た。半分くらいフガフガ(←失礼)言ってたけど、弟子が上げておいて下げるところとかはやっぱりおもろいじいちゃん、って感じでした。

両親は子供を預けてでも新年の一門会に出かける程の枝雀さんの大ファンで、枝雀さんやおかみさんからあたたかいお手紙なんかも戴いていたので、この日を楽しみにしてました。おかみさんは下座に入っていると思ったので、中入の時にお菓子を持って楽屋までご挨拶しに行きました。ダメもとで行ったんだけど、米朝会のスタッフの方に名乗ったら、すぐに出てきて下さり、とても喜んでくれました。裏はたくさんの人が屏風や座布団などの道具の上げ下げをして、狭い通路に3人して押し掛けてしまったのに、皆さんが脇を通る度に「お疲れさんです、ありがとうございます」と声を掛けて下さったし、お客さんんもそうだったけど、お弟子さんも若い方ばかりでした。ああ、この一門は何だかあったかいなぁ、と思いました。やっぱり枝雀さんの人柄なんでしょう。シャイで真面目であったかくて。亡くなってもなお、ファンが増えているのも納得だなぁと思った夜でした。